一どんな活動をされていますか?
病院の事務長、道の駅の代表、介護施設の施設長の経験を経て、2021年3月に津和野町特定地域づくり事業協同組合の事務局長に着任しております。津和野町は島根県の最西端にあり、山陰の小京都として観光業が盛んな町で、今なお続く人口減少に伴って発生している「生産年齢人口の減少」の打ち手として、当事業協同組合の立ち上げを行いました。
津和野町特定地域づくり事業協同組合は、津和野町としての財政的支援はもちろんのこと、農林水産業・商工業の担い手不足の解消を行うとともに、農林業技術の取得や工場、半農半Xのモデル化を促進することで、育成された人材が地域社会の維持及び地域経済の活性化に繋がる未来を見据え、津和野町役場のつわの暮らし推進課(商工観光課、農林課、建設課)と連携しながら立ち上げて参りました。
特に設立当初の収支計画において、組合員の年間派遣要望と組合の事業収入及び給与等支払可能額について支払可能額について事前確認を行い、持続的な事業計画の設計を行いました。
普段の業務としては、①組織運営と庶務・経理・労務管理、②職員と組合員のマッチング、③職員教育を主として行っており、派遣先と組合員のミスマッチが発生しない様に事業者情報等について定期開催の職員会議において協議を行い、予め翌月の勤務日程の確認や労働環境の整備に努めています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
まず、現行の限られた人的資源をどう活用するかを日々模索しています。事業者側からの要望の大半が農業(水稲、果樹、山菜、茶、花卉、施設野菜、露地野菜、草刈り)における支援であり、マルチワークにて幅の広がった多様化する働き方をどうデザインするかを日々協議しながら、マッチング・スケジュール設計を行っています。
また、津和野町特定地域づくり事業協同組合における派遣職員の確保が課題となります。現在 4名の派遣職員が所属しており、いずれもIターン者で町内での生活や仕事に悩んでいる方に声掛けしタイミング良く確保できましたが、町外からの確保は実現できませんでした。生産年齢人口の減少に伴い、事業者側の要望は今後も継続的に発生する見込みであることから人材確保は急務であり、今後は人材紹介会社の活用等、外部連携が必要と考えています。
最後に、町内・外における特定地域づくり事業協同組合の認知度の向上も課題と捉えています。行政からの発信を下に町民がアクションするという文化を払拭すべく、町内が一体となり今後の津和野の未来を改善していくことも特定地域づくり事業協同組合としての課題と捉えています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
マルチワークにて幅の広がった多様化する働き方のデザインが確立できた暁には、これまで津和野町で起こっていた「低所得」⇒「低教育」⇒「生産年齢人口の減少」といった負の連鎖に歯止めが掛けられると考えています。その為にも、ICTの活用により、町民からの相談事項をAIで回答できる環境を構築し、町民が役場からの情報や行政サービスの情報を能動的に取りにいかなくても情報収集が円滑にできる状態を作ることで、相互の情報交換が進み、外部連携が推進できていくと考えております。
一今後の目標はなんですか?
津和野町特定地域づくり事業協同組合の設立目的である津和野町の財政的支援はもちろんのこと、農林水産業・商工業の担い手不足の解消を行うとともに、農林業技術の取得や工場、半農半Xのモデル化を促進することで、育成された人材が地域社会の維持及び地域経済の活性化に繋がる未来の構築を見据えています。また、高齢化の進む津和野町における訪問介護に対する課題を支援できる体制構築も今後の目標として考えています。
編集後記
町の商人マインドが随所に現れる内田さん、津和野町の将来を見据えたこれまでの活動と今後の取り組みに一貫性を強く感じ、「経験に勝るものはない」という強いメッセージを名言される意味合いを痛感させられるほど、多角的な視点で日々多くの情報収集を行っていらっしゃる姿に心から尊敬しております。農林水産業・商工業の担い手不足の解消からマルチワークにて幅の広がった多様化する働き方のデザインの確立と適材・適所の創出を軸とした弊社との協創はこれまでにないシナジーを生み出すやもしれない、と沸々とワクワクしております。