一どんな活動をされていますか?
定額制の全国多拠点居住サービス「ADDress(アドレス)」にて会員のサポート、問い合わせ業務のほかに、直近では楽しくサービスを使ってもらうために、全国のADDressの利用者ガイドのルール設計を行っています。
ADDressは人口減少と空き家の課題解消を目指した社会的サービスで、増え続ける全国の空き家を再活用し、全国を旅するように暮らしたい会員向けに、共同住まい(シェアハウス)として提供しています。実際、勤めている津和野町のオフィスは推定築160年以上の古民家をリノベーションして活用しています。
私は最初から津和野町で勤めていたわけではなく、恩師からの猛烈なお声掛けで前の企業からADDressに転職し戻ってきました。前の企業も島根県の会社で昔から地元に強い思い入れがありました。また、学生時代から古民家再生や廃校利用などの研究をしていました。恩師からそういった話があったときに、学生時代の研究で培った経験を活かして残った資源をどうにか生かしていきたいという気持ちが勝り、ADDressへ転職して地元の津和野町に戻ってきました。
その他の活動としては、35歳くらいまでの若い人が有志で集い津和野町の魅力を発信したり津和野町でできることを考えて実行する「蚤の市」や、去年くらいから島根県立大学の学生が月に一度学生目線で津和野町の課題を考える活動の「つわの未来塾」などのイベントやコミュニティを津和野町出身者である私がハブ役になって開催しています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
津和野町は人口も少ない町であるため、雇用の需要が少ないのです。そのため、若い人がUターンなどで戻ってこようとしても、地元の就職先がないといった状況が見受けられます。私はADDressを通じてUターンすることができましたが、そういった「戻りたい」と思った若い人が働けない、就職先が少ない点が課題と感じています。
また、津和野町を盛り上げるために色々とできたらいいなと思い、「蚤の市」や「つわの未来塾」を開催していますが、参加メンバーに津和野町出身者が少なく外部の人たちでの活動となってしまっていることが悩みであります。そのため、地元出身者をもっと巻き込む力が欲しいと感じてい
ます。
私自身も好きなことをずっとやってきたと思っており、目標を持つ視点が欠けていたと感じております。津和野町は魅力をもちながら色々抱えている町でありますが、戻ってきたご縁もあるので、何か手助けとなるような活動を引き続き行いたいと思っています。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
私はUターンで戻ってきたので知り合いもいますが、ADDressで働いていることを知っている方も少なく、津和野町の方々や近隣の方もADDressの活動が何かやっているくらいの認識で理解が少ない状況です。そういった方々に、ADDressで提供しているサービスや場所が地域にとって意義のあるものと認識していただけると嬉しいですね。そういったことを認識していただけると、ADDressで提供しているスペースが、何か楽しいことに関われる場所、地域の方々で交流できる場所となり嬉しいです。
その他にも、津和野町は昔は炭鉱の町や城下町などで観光が盛んであったんです。それが、日本の人口自体が減ってきていることもありますが、観光客が年々減っております。もちろん、津和野町は観光の町であるため、観光をベースに置いておく必要はありますが、そのほかの産業にも手を出していかないと雇用が生まれず、衰退の一歩だと思っております。そういったことを一緒に考えてくれる人が欲しいですね。私の見えない視点から津和野町を見てくれると新たな気づきになり、より発展につながるのではないかなと思っています。
一今後の目標はなんですか?
今後は、地元出身者として私が、UターンやIターンで津和野町に来られる若い方と津和野町の方とのつながりを作るコーディネーターになりたいと思っています。そういった存在が一人でもいると、来られる方にとって心強いですよね。
津和野町には大学がなく、高校を卒業した人は外部の大学へ行くことが多い状況です。そのまま社会人になっても戻って来られないことが多く、津和野町が30代や40代が抜けていると言われることもあります。そのため、来られた若い方たちがその上の世代の方たちとの関わることが必要となりますが、コーディネーターとしてそういった情報共有などのコミュニケーションのお手伝いすることも行いたいですね。
さらに、ADDressを認知していただき、地域の人の交流の場としてADDressの拠点を使っていただけるような仕組みづくりも引き続き行なっていく予定です。
編集後記
雇用吸収力が少ないと言われている津和野町に、縁を感じて戻られた金山さん。人との縁や恩といったつながりを大切にされて、誘われたイベントには基本的には断られないそうです。そういった人と人とのコミュニケーションに長けておられる金山さんが、Uターンの経験もあるコーディネーターとなり、新しく津和野町に来られた方を様々な人と繋げる...。おっしゃるように津和野町に来られた方にとって、このような心強い存在はなかなかおりません。その中で出来上がるコミュニティが出来上がる...、いえ、とても大きなものとなるのも、近い将来だと感じました。