一どんな活動をされていますか?
つわの学びみらい代表(元津和野町高校校長)。津和野高校の校長を務めていた頃から津和野Tプランの原型をつくり、最初は不登校のリスタートが多いなか、教員やコーディネーターと試行錯誤しながら学生が挑戦できる場創り、子供たちのやりたいを実現していく事で活動の認知が広がり、「ツコウ(津和野高校)で学びたい」学生が集まる様になってきています。
現在の津和野高校は全国各地から様々な生徒が地方留学に参加し、地方都市とは思えない多様性のある高校となっています。退職後、町営英語塾HAN-KOHで学びの場をつくり、当初から、つわの学びみらいの財団の設立に関わっていたため、現在は財団の代表理事として津和野に関わっています。
津和野町教育ビジョンである「0歳児からのひとづくり事業」の具現化のため、津和野高校で実現できた事を高校だけではなく、小中学校や保育園まで浸透させるための活動や教育の魅力化のための様々な取り組みを行っています。それぞれが次の一歩が踏み出せる人材を育成することで津和野町に貢献できればと考えています。
一今やっていることについての課題はなんですか?
これまでの活動で教育という観点で子供たちへの価値提供はできているが、津和野町自体に貢献できているのかという所は数字として見えていないのが実状です。つわの学びみらいの活動で教育がクローズアップされることで関係人口が増えてきているが、U・Iターンに直結しておらず、もっと地域貢献に繋げることができないかと考えています。
津和野町としてどんどん人が減っていくけども、地元の方々の中には昔の津和野町のイメージを復元したいという思いが多い。人口の減少をIターンの人たちや外部からの企業誘致ですべて補えるわけではなく、また子供たちに地元に残りなさいや帰ってきなさいよと強制するものでもないと思います。
現実を踏まえ津和野町の人口が減っていく中で、どれくらいの規模の町を目指していくのかを話せる人が集まってくると津和野町がどう自給自足していくのか、津和野町の住民としてどのような幸せを求めるのかなど具体化され、さらにそこに共感を得た人=津和野が必要としている人をマッチングでき、持続可能な津和野町として町が良くなっていくのではないかと思います。
一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?
過疎地域はデジタルの技術者がおらず、津和野町にもITの会社があるが地元で技術者が育てられないため地元からの雇用ができない状況にあります。IT企業が津和野町に来たとしても外部の人が来て仕事をしているだけになってしまうのは望む形ではありません。
一方で教育であればデジタルとつながる可能性はあると考えています。技術者と生徒がつながるようなプログラムがあれば、本来地方では得づらい知識を学ぶことができます。コロナにおけるリモートワークの普及でそれも実現性が出てきていると思います。また子供達が例えばAIのような先端技術を活用して何かを行うプログラムを実践する事で「地方だから・・・」という地方都市の子供の気持ちを解放してあげることができるのではないかと考えています。
一今後の目標はなんですか?
やってみたいを形にしてあげる事だけではなく、やってみたいの経験を積ませてあげる事で様々な選択肢を子供たちにもってもらい、将来活躍する選択肢を自身で選べる若者が増えてくれること。財団のビジョンにもありますが次の一歩が踏み出せる人づくりを行い、最後は世界に旅立つ人材を生み出す事です。そういった選択肢に加え津和野町には公立の学校しかないが、選択肢として不登校の子供たちを含む公立の学校を選択しない子供たちが通える学校の創出が出来れば嬉しいですね。
また教育を通じて津和野町に貢献するために教育Iターンも目標としており、地元から県外の有名大学にいった学生が行うリモート家庭教師の展開や外部理事の導入など、外に出た人が、「津和野に関わりたい」と思える視点を増やす事が必要だと思っています。
編集後記
津和野高校の校長のご経歴や財団法人つわの学びみらいの代表理事をつとめていらっしゃる一方で島根県ボート協会の会長も務められておられ、実は体育会系の宮本さん。インタビューでは様々な想いやアイデアを伺うことができました。特に校長時代の学生からの様々な要望を受け入れられたエピソードからは、宮本さんの判断力・決断力また、それを実際に実行に移す実行力を感じました。
まだまだ課題はたくさんあるとおっしゃっていましたが、様々な経歴や強い思いを持つコーディネーターの方々を財団として受け入れ、設立間もない団体でも成果を上げられているのは宮本さんのこれらの力が生かされているのではないかと思います。これからも一緒に活動できるのがとても楽しみです。