津和野の子どもたちに学びの選択肢を

島根県津和野町

すみだ ももこ

住田 桃子

広島市で公立中学校の教諭を3年間勤務。 公教育でよりリアルで自然な学びをどう実現していくかを実践を通して探るために2019年に津和野魅力化コーディネーターとして参画し、現在に至る。 フリーランスのグラフィックレコーダーとしても活動。

一どんな活動をされていますか?

つわの学びみらいのコーディネーターとして、津和野にある2つの中学校、4つの小学校の子どもたちを二人体制で主体的な学びのサポートをする仕事をしています。子どもを取り巻く大人たちが地域ぐるみで教育に関わる津和野に魅力を感じて移住しました。
つわの学びみらいでは地域と学校をつなげる横の連携、園・校種を超えて子どもたちの学びをつなげる縦の連携、中高生の企画したプロジェクトの伴走などを担当しています。

子どもたちの企画・実施するプロジェクトの伴走で津和野の歴史を学べるゲームを作成したり、乗馬が好きな子どもが牧場のアピールするためのポップを作成したり、中学校の総合授業では町の様々な世代の方に話を聞くツワトークという授業を実施したり・・・多岐にわたります。 興味を持ったことに挑戦してもらったり、多様な大人たちとの接点を持ってもらったりする事で、津和野の子どもたちに多様な選択肢をもってもらいたいです。

また個人ではグラフィックレコーダーとしても活動していて、小学校向けにグラレコ講座を開催したり、フォーラムの際にレコーダーとして参加したりもしています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

多様な価値観をもった子どもたちが育ってくれるのはうれしい一方で、芽吹いてくれた子どもたちの興味のタネやチャレンジに対して伴走側の経験や知識が及ばない範囲のことがでてきています。

これら多くの課題を解決するためにはつわの学びみらいという組織もまだ発足2年と若い組織でありますが、組織としてもまだ成長が必要なのかもしれませんし、私たちコーディネーターの役割も広がってきている中で、教育現場における黒子のような活動をしているコーディネーターが何をやっている存在なのか保護者の方々や地域の人たちからするとなかなか見えづらい存在という事も課題解決が進みにくい原因のひとつなのかもしれません。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

例えば先ほど例に出した「津和野の歴史を学べるゲーム」についても、私からは「比較的作りやすいゲームにしてみよう」というアドバイスはできても、そこからさらに先のチャレンジには専門的な知識が必要になります。せっかく本人が興味をもって挑戦してくれようとしてくれているので悩ましいところです。

IT分野に詳しい方などがいたり、子どもたちがITを活用して自主的にいろいろ調べられるようになったりすれば子どもたちの姿勢も変わっていくと思うので、教育現場におけるICTの活用やルールの制定など環境整備を進めていけばこういった課題も乗り越えられるのかもしれません。

またコーディネーターの活動がなかなか知られていないという部分もWEBなどでの情報発信ができていけば、行政や保護者の方にもつわの学びみらいの活動を知ってもらいやすくなったり、津和野の魅力発信にもつながったりするかもしれないですね。「多くの大人たちが教育に関わっている」地域という事は私が津和野に来た理由の一つでもあるので、私たちの活動を知ってもらえることでもっと地域で子どもたちの教育を考えていけるようになると嬉しいです。

一今後の目標はなんですか?

大学生のころにLearningForAllという生活保護受給世帯を対象とした学習支援を行う団体に所属していたことや、教員時代に経験した多くのことから教員ではない立場からできる支援を考えていきたいです。
津和野で育つすべての子どもたちが安心していきたい、学びたいと思える環境を、彼らにより近い立場から作っていきたいと考えています。学ぶ場所や学び方も決して一本道ではなく「ポジティブな学びの選択肢」が多くあることを伝えていきたいと思っています。

編集後記

とても笑顔の素敵な住田さんから感じたのは教育にかける熱い思いです。 子どもの声を大切にし、小さな町の中で多くの出会いや交流を創出している住田さんのアクションや発する言葉からは「彼らの可能性や選択肢を広げたい」という姿勢を強く感じる時間でした。
そしてそんな住田さんを引き寄せることができる事こそ津和野という町の魅力なのだろうと思います。 多くの課題を乗り越えるためにもぜひ一緒にできる事を模索していきたいと感じた時間でした。

-コーディネーター紹介-

ID 島根県津和野町

かんば ゆういちろう

神庭 雄一郎

鳥取県米子市出身。2008年にアデコ株式会社に入社し、首都圏の派遣部門を中心に従事。
現在はコンサルティング事業を行う部門で営業、新規事業企画などを担当。
パラレルキャリアとして東京日本橋において地域コミュニティ・イベントの運営企画、オンライン配信企画などを行う。