廃校を利活用して先端技術のフィールドへ

栃木県矢板市

おおかわ ひろゆき

大川 裕章

1970年長崎県雲仙市生まれ。 兵庫大阪で高校時代までを過ごし、東北大学へ進学後は大好きな地学を研究。 プログラミングは中学時代に親からPCを買ってもらったことがきっかけで独学にて習得。 民間企業でのシステム開発経験を経て、2004年に有限会社HCCソフトウェアエンジニアリング(現HCCソフト株式会社)を創業。 プライベートでは35歳から始めたソフトボールに熱中する一面も持つ。

一どんな活動をされていますか?

システム受託開発やウェブサイトの制作などを行う、HCCソフト株式会社を経営しています。
大学卒業後は民間企業で勤めていましたが、1年間のアメリカ研修の際に全然通用しなかったことがきっかけで、海外に通用するエンジニアになりたいと思うようになり、この頃から起業マインドが芽生えました。帰国後に宇都宮から横浜まで新幹線通勤をしていたことや、もっとチャレンジしたいという思いに対する働き方のギャップを感じる中で環境を変えたいと思い、宇都宮の会社に転職しました。その後、当時のプロジェクトのメンバーを率いて会社を設立し、経営をする流れとなりました。

本社はさくら市ですが、2021年10月からは廃校になった矢板西小学校の校舎を利活用した研究開発センターを開設し、「矢板スポーツテック&ドローンフィールド」としても活用していきたいと考えております。

また、CSRとして子ども向けプログラミング道場「CoderDojoさくら」のスポンサーも務め、私が道場主(代表者)として活動しています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

今はシステム受託開発をメインに行っていますが、今後はドローンとスポーツテックを中心に進めていきたいと考えています。現在は8:2の割合で受託開発にウエイトを置いている状況のため、自社開発ソフトウェアの製品化に向けた活動があまりできていません。その方が会社として安定するという事情もあり、なかなか比重が変えられないというのが現実です。

スポーツテック分野の中でも色々あります。現在はスコアブックをつけるシステムを無償提供していて、ブラッシュアップしていく中で自社製品として展開していきたいと考えていますが、その他に研究開発を進めている映像解析の分野の話で言えば、事業として成り立たせようとすると大きな投資が必要となるので、どのような形で進めていくのがいいのか、決めていくことが課題と考えています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

映像・画像解析についてはドローンでも活用できます。廃校の体育館部分は天井が剥がれて落ちてくるような状況でしたが、修繕してドローンのフィールドとして使用できるようにしましたので、今後積極的に活用していきたいです。

映像解析は私のソフトボールの競技力向上に役立てたいというところがスタートなのですが、映像だけでなくスピードや回転数を計測する機能も付けて、撮影後すぐにその場で確認できるようなものを作っていきたいと考えています。実際には自分が活用するだけでなく、自社サービスとしても展開できるようになればと考えています。

CSRは昔からやりたいと思っていて、障がい者マラソンの協賛や社内外の清掃などたくさんの活動を行ってきました。その中でも私が代表を務める「CoderDojoさくら」は、子ども向けに何かやりたいと思っていたことと、プログラミングができる場所を作りたいと思っていたことから始めました。社員がたくさん参加してくれて、私が動かなくても準備や後片付けを率先してやってくれるので助かっています。最近では、映像解析を得意なOBと一緒に仕事をするという事例も出てきたので、特にもやりがいを感じています。今後もこのような活動を続ける中で、少しでもうちの会社に興味を持ってくれたらうれしいですね。

一今後の目標はなんですか?

アメリカに行った経験もあったので、海外のどこかに支店を作りたいと考えています。支店を作るなら東南アジアあたりを考えていたこともあり、その中でもベトナムは人柄もいいと聞いていたので、実際に日本ではありますが、ベトナム人を1人採用しました。

ベトナムは技術的に日本よりも進んでいる部分もありますし、優秀な技術者が日本企業で働きたいと応募してくることも多くなってきましたので、今後そういった人材を採用していくチャンスは増えていくのではないかと思います。

あと、ベトナムで開発をしていくということだけでなく、日本で開発した商品をベトナムの市場で展開していくことも考えています。将来的にはベトナムだけでなく、東南アジア全体に広げていきたいですね。

編集後記

CSRへの意識が高い大川さんは、「CoderDojoさくら」に限らず、障がい者マラソンの協賛や社内外の清掃活動など、多くの活動を行っています。今後は、矢板市教育委員会と開催に向けて進めている小学生向けのプログラミング教室の開催にあたってご協力いただく予定となっています。
過去には兵庫や大阪、仙台、横浜など色々な土地への居住経験がある大川さんですが、その中でも矢板はすごく魅力的と語っていました。また、ソフトボールへの熱い思いがあり、60歳以上が出場するスポーツの祭典「ねんりんピック」へ出場するのが夢と話していたのがとても印象的でした。

-コーディネーター紹介-

ID 栃木県矢板市

のだて ようすけ

野舘 洋輔

1987年生まれ。岩手県盛岡市出身。
大学卒業後、地方銀行、市役所で勤務。
2020年に株式会社VSN(現Modis株式会社)へ入社し、ネットワークエンジニアとして活動中。
市役所時代の経験から地域に関わるプロジェクトに参画したいと思い、地方創生VIプロジェクトへの参加を決意。
コンテストに出場するほど身体を鍛えることが好きで、最近ではパーソナルジムの経営も行っている。