デジタル活用とアイデアで町のインフラを支えていきたい

北海道仁木町

ひの つかさ

日野 司

仁木町で生まれ育ち、社会人になり住宅メーカーで6年従事した後に祖父が立ち上げた現在の会社、有限会社仁木小型運輸に入社。現在は有限会社仁木小型運輸常務取締役、仁木清掃有限会社社長、仁木町除雪共同組合事務局長、少年補導員連合会事務局長など兼任されていて、町の清掃事業から冬の時期には除雪をメインとした多岐に渡った業務をされていて、仁木町の暮らしをインフラ面から支える仕事をされてらっしゃいます。

一どんな活動をされていますか?

仁木町で生まれ育ち、社会人で住宅機器メーカーに就職しました。その後、自身の住宅機器メーカーでの経験も踏まえて、当時下水道などが充実していなかった地元を住宅環境の改善活動を通して貢献したいという想いから祖父が経営していた現在の会社に入社しました。

現在の主な事業内容としては仁木町の清掃事業と冬は除雪事業を行っていて、除雪事業では仁木町内の除雪事業共同組合の事務局長として町内134ルートを1晩深夜帯4時間ほどで対応しています。朝方、除雪後の綺麗さを見たり、町の人がなにもなかったかのように普通に道を運転したりしているのを見てやりがいを感じています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

一番は人材に関する課題です。夏と冬で仕事内容が変わるところもあるため正社員を採るのが難しいです。加えて町内の高齢化が進んでいて、新たな人材確保も課題になってきています。また、自分たちの仕事は経験によって培われる仕事のため人に教えて育てる事が難しいことも課題であると感じています。

さらに就業面においても、祝日もごみ収集があるため休日が不定期であり、冬の時期はごみ収集に加えて除雪業務もあり重労働となるため大変さを感じる事が多々あります。除雪作業以外でも気を遣うことが多く、例えば除雪で使用する重機車両の 軽油を1晩1000Lほど消費するので燃料費の高騰による予算の圧迫、また軽油車なのでアドブルーも大量に必要になり、その供給ルートを維持するのがとても大変だったりもします。

※アドブルー(尿素水):排出ガスをクリーンにするために欠かせないもの

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

人に教える際に人によっては伝え方が異なったり、捉え方も変わってきたりします。前職は工場で働いていたため、作業を標準化することの大事さを実感しているためデジタルを活用して作業の標準化を安価に実現できればいいなと思います。業務内容は非定型作業が多いため、全てを標準化することは難しいと思っていますが、出来る所から着手していきたいと思っています。

実は既に現在、YouTubeやGoProでオペレーターの運転や作業を映像で残してスキルを継承しやすいように試しています。将来的には業務自動化ツールなどを使用して業務の効率化やARゴーグルでオペレーターの運転方法や運転ルートのマッピングなどAIで学習して業務効率の標準化を画策しています。ただ、それを町レベルで行うとなるとかなりハードルが高いとも感じています。

一今後の目標はなんですか?

会社としては情報を私たちから発信していかないと周りからみたらなにをやっている会社かわからないと思います。例えば大きな会社は独自で広報の部署を作成して宣伝できますが中小企業は中々難しい面があります。だからといってSNSを使って「はい、やって」と言っても大半の人はどう行えばいいのか分かりません。だからこそ、自分が率先して仕事のやり方からデジタル活用の方法、情報発信の仕方などを提示し、使うきっかけを作っていく事が大事だと思っています。

そのためYouTubeやSNSの活用も含め自分で試したり、様々な事業者を繋いだり、新たな情報やアイデアを発信していき、町の人が我々を認知してくれたらいいなと思います。現在60期目設立100年目を目指すわが社ですが将来、町の子供が仁木町には仁木小型運輸がある、仁木清掃があるって認知してくれていて社員が長くいたいと思える会社を作っていきたいと思います。

朝起きたら普通に歩けて、普通に車が通れる状態を作るのは私たちの仕事なんですよね。たとえ電車が止まっても仁木町の町中は普通に車が走れる。それを常に目指すことで子供たちにも誇れるようになるかなと思います。

編集後記

今回は冬の仁木町訪問だったため冬の事業に関してのインタビュー内容が多かったですが、日野さん自身も多方面で様々な業務に関わっておりインタビュー記事に書ききれないほど盛りだくさんの内容となりました。話していると日野さんの優しい人柄がわかり、町内で色んな人から求められるのも理解できました。日野さん自身も頼まれたら断れない性格とのことで町内を歩いていてもいろいろな世代から声掛けてくれるんだよねと仁木町の地元愛を終始感じながらのインタビューでした。また、我々エンジニアも驚くほどのIT知識もお持ちで率先して積極的にデジタル活用している様子も伺えて自分たちもその姿勢は自分の業務にも通ずることがあると学ぶことができました。

-コーディネーター紹介-

ID 北海道仁木町

いとう たかひと

伊藤 貴人

東京都生まれ、東京都育ち。幼少期から大学時代までサッカーをしていて、中学、高校とクラブチームで二度の全国大会を経験。現在の趣味はゴルフ。大学卒業後はSIerに入社し、名古屋で自動車メーカーのシステム開発に従事。2018年に株式会社VSN(現Modis)入社。現在Web系のプロジェクトにて社内システム、サイトの作成、運用・保守などを担当。大学時代のゼミで地方創生について研究、社会人になりゼミでの活動を活かせないかと思い地方創生VI、北海道仁木町チームへ参画。