来て触れて初めて実感できる魅力を後世に

北海道仁木町

かとう まさしげ / かさい よしかず

加藤 政茂 / 笠井 芳一

加藤 政茂
仁木町出身。農家兼仁木スキー連盟会長。 子供の頃からスポーツを通して育まれる心の成長を自身が経験される。就職を機に仁木町に戻り、銀山学園で総務部長として勤務。退職後は実家の農業に従事しつつ、趣味の範囲で地域貢献がしたいという気持ちから仁木町スキー連盟の活動にボランティアとして参加。日々、地元の子供達にスキーの楽しさを伝える為、活動している。

笠井 芳一
仁木町出身。消防士兼仁木スキー連盟で指導員として従事。 札幌で大学時代を過ごし、地元に貢献する為、仁木町の消防士として就業。学校の授業で経験したスキーの楽しさを今の子供達にも伝えたい気持ちから、本職の傍、ボランティアとして仁木町民スキー場で指導員として活動する。

一どんな活動をされていますか?

[加藤さん]
仁木町出身で地元に貢献したいと思い、就職を機に地元に戻り、銀山学園に就職しました。退職後は実家の農家を継ぎつつ、仁木スキー連盟の会長として冬の農業閑散期にはボランティアとしてスキー教室の企画・開催しています。近年、個人のSNSでこのスキー場の魅力を知り来てくれるお客様が増加しました。以前は町内のお客様ばかりでしたが、これをきっかけに町外のお客様が増え、仁木町の環境や人の魅力を知ってくれれば嬉しい限りです。

[笠井さん]
私も出身は仁木町で札幌の大学に進学する関係で仁木町を離れましたが、地元に貢献したいという気持ちから地元で消防士として就職しました。仕事の休みの日は、ボランティアで夏は少年野球のコーチ(現在退団)、冬はスキーの指導をしています。スキー連盟主催のスキー教室のほか学校や保育園のスキー授業を受け持ち、教職員の代わりに指導を行うことも多く、そこからスキーを好きになる第一歩につながればと感じています。また、スポーツを通して礼儀や物を大切にするなど心の成長も期待しています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

[加藤さん]
コロナ以前はスキーイベントを開催して、町外からのお客様に仁木町の魅力を伝える機会が沢山あったが、それができなくなってしまったのが課題です。JR廃線に伴い、高校がないこの町の子供達への影響が計り知れないので、それに対して不安と危機感を覚えます。一部の住民からの意見では、仁木町から高校へ通学する場合、時間や体力面で子供達への負担が大きく、これらを考慮すると下宿しないと厳しいのではという声も聞きます。

学力レベルが高い学生に、近場という理由だけで進学先を決めるより、札幌などの都市部に本人のレベルに沿った高校に進学させたい。その為には、地元を離れることは致し方ないことです。JRからバスへ転換して通学できるようしていますが、それにも限界があります。おそらく地元を離れ、高校から下宿する子が増えるのではないでしょうか。

[笠井さん]
スキー教室も定期的に開催していましたが、コロナの影響で1年間休講しました。現在はコロナ前と同様にスキー教室を開催しても、また休講になるのではというお客様の不安から参加者はコロナ前の半分以下になってしまったことです。営業期間が12月25日くらいから3月第一週までの短い期間ですが、雪質などニセコ、キロロ、ルスツなどに負けない上質さと普段使いのスキー場ならではの価格のお手頃感が伝わらないのも苦しいところです。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

[加藤さん]
今年は例年通りに年間のイベントが開催される予想なので、春夏秋のイベントで仁木町に興味を持った人が冬にも訪れてもらえるよう、働きかけをしていくことが重要です。あくまでも仁木町の魅力に共感を持った人に来て欲しいので、スキー連盟が直接情報発信するのではなく、非効率であったとしても仁木町のホームページに情報を掲載する形式をとっています。町に興味がないとホームページにアクセスしないと思いますので、スキーの情報だけではなく町の情報に触れてもらいファンを増やしていきたいと考えています。

スキー連盟アカウントでSNSから情報発信した場合、スキー目的の人が多くなり、町に共感した人に来て欲しいという目的が達成できないため、SNSは利用していません。

[笠井さん]
個人アカウントのSNSがきっかけでスキー場に来ている町外の若い世代に対して、更に町を知ってもらう機会を増やしていくことで、今後のイベント運営にご意見を取り入れていき、行動していく必要があります。

一今後の目標はなんですか?

[加藤さん]
仁木町を盛り上げていきたいが、この地域の穏やかさが損なわれるのは避けたいので、この地域の良さに共感できる人だけが来て欲しいと思っています。理想は仁木町に来て体感し、将来は移住してもいいかなと思ってくれる人がいることです。そのような人を増やしていきたいですね。

[笠井さん]
加藤さんと同じで仁木町の魅力を感じて来てくれる人を増やしていきたいです。車を利用すれば1時間圏内で山・海・札幌に行くことができます。高速道路が開通すれば利便性はさらに良くなります。あくまでもこの地域の良さを損なわない程度に人が来てくれるよう、情報発信していく必要性はあります。

編集後記

「地元へ貢献したい」というお二人の行動原理が、現在の就業先や地域への関わり方に繋がっているのだと感じました。仁木町は穏やかで人と人同士の距離が近い。その良さを担う子供達が学業の関係で仁木町から離れ、再び戻ってきてもらうにはどうすればいいのか、答えがない課題に対して模索されているのが印象的でした。スキーというスポーツを通して人の内面も外見も育てていく、この人材育成が仁木町への社内貢献に繋がっているのだと思います。

-コーディネーター紹介-

ID 北海道仁木町

やまもと えりこ

山本 恵律子

神奈川県生まれ、神奈川県育ち。
2014年Modis(旧VSN)に入社。 ネットワークエンジニアとしてインフラ系NWの設計から運用業務まで携わる。
前職はスーパーのバイヤーとして全国の地域商品を活かしたオリジナルお惣菜の企画開発を行う。学生時代、地域経済の発展と雇用創出をテーマに研究したことがきっかけで、2022年3月より北海道仁木町チームに参加。