ふるさと納税を入り口に町全体の活性化を

静岡県南伊豆町

ももせ こうじ

百瀬 恒史

奈良県出身。 課題解決に取り組みながら事業を作る活動している株式会社FoundingBaseに所属しながら、2022年5月から南伊豆町の地域おこし協力隊としてふるさと納税振興を担当。 ふるさと納税振興に起点を置きつつ、多角的に切り込みながら南伊豆町全体の活性化に取り組む。

一どんな活動をされていますか?

2022年5月から南伊豆に来て、地域おこし協力隊として、ふるさと納税の寄付額をどう伸ばすか、どう改善していくかということを役場職員と一緒に取り組んでいます。ただ、いろいろな背景があり金額を伸ばすことには限界が見えてきたので、そのためにどうするかという部分について2~3年かける長期構想で現在全体像を書いている最中です。事業者さんとも密にコミュニケーションを取り、相談をしながら活動しています。

元々は東京のECのベンチャー企業で営業や広告企画、事業立ち上げなどに取り組んでいたのですが、会社の規模が大きくなったこともあり、自分の取り組んでみたいことをしてみようと転職活動をしていました。その際に、現在所属しているFoundingBaseという会社に出会い、南伊豆町でのふるさと納税振興や地域商社商品の開発に関する話を聞いたんです。前職でふるさと納税の事業立ち上げにも携わり、知識があったこと、そして自身のしたいことであった地方の中小企業の支援をするためにも、一度町に入りたいと思っていたこともあり、ドンピシャだなと。それは面白いと思い何も迷わずに決めました。

地元が奈良県で、学生時代に少し関西に住み、前職では東京に住んでいましたが、もともと働く場所にこだわりは一切なく、自分がしたいことができる場所であればいいと思っていました。南伊豆に来て半年ですが、今の方が最近では働きやすいと感じることも多いです。所属している会社の性質もあるかもしれませんが、全部の仕事を自分で、かつ自分のペースでできるので。それに、毎晩温泉に入ったりして、東京時代とは全く別の生活を充実しながら送っています。

一今やっていることについての課題はなんですか?

まずは商品の売り方どうこうではなく、「商品がない」という問題があります。売れる商品やヒット商品を見ても、多くの在庫がない上に、新しい商品もすぐに出てくるわけでもない状況です。それは自分がプラットフォーム側にいた時は感じなかったことなんです。決まった卸先の分があるからふるさと納税には商品を分けることができないと言われることや、魚などは不漁がずっと続いているのでそもそも返礼品として出せないといったことがあるので、もっと深い、根本的な問題が山ほどあるんだなとすごく実感しました。

あとは、高齢化が進んでいることもあり、「新しいことに取り組むのはしんどいかな」といったスタンスの事業者さんも結構いらっしゃる状況ですね。それこそ本当に小ロットでも、小さいことでも良いんですが、何か一回やってみましょうとお話してもNOと言われてしまうのは結構もったいないなと思っているので、成功事例を持ってまた話しに行くしかないと思っています。

当初は、頑張りたい中小企業さんの「頑張りたいけどなんかうまくいかない」というような悩みを解決できる人になりたいという思いだけで南伊豆に入りました。ですが、実際に活動をする中で、町の制度を変えたり、町の中に「チャレンジしよう」というような気概を生み出せなかったら何も変わらないんだなとも思い……。ヒト・モノ・カネの特にヒトとカネの部分は、事業者さんにはどうしようもない部分であったり、リスクを背負わなくてはいけない部分になるので、町としての仕組みでどうにかならないかなと思っています。

一課題を乗り越えたらどんな可能性がありますか?/ITを使ってできそうなことはなんですか?

具体的なことはちょうど検討中なのでまだお話できないのですが、事業者さんが自分たちでチャレンジできる仕組みを作りたいと考えているところです。ただ、ふるさと納税は町の活性化の入り口だと思っているので、もしもそれがなくなったとしてもどうにかなるようなビジネスモデルを作りたいと思っています。

一今後の目標はなんですか?

寄付額を伸ばすことはもちろん、寄付者をどう関係人口にさせるかということを考えています。結局、ふるさと納税の寄付をした人の多くは「安いから買う」とか「お得だから買う」とかなんです。でも、それはすごくもったいなくて。ふるさと納税で接点を0から1作れた状況なので、それを1から10に、10から100にしていきたいなと、今は全体設計をしているところです。

あとは、町のことを能動的に考えてくれるプレイヤーを増やしていくための場づくりなどをどんどんしていきたいと思っています。点としてアクションしている人はいますので、その人たちを繋げたり、大きくしたりできたらと。新しいことをし続けないと結局形骸化してしまうと考えているので、自分からどんどん発信していきたいと思います。

編集後記

南伊豆町に入ってからまだ1年に満たないということでしたが、町や町の人たちの様子を深くお話してくださり、積極的にコミュニケーションを取られているということがとても伝わってきました。「知らないところに行くのは全部チャレンジだと思う」と仰っていましたが、その言葉通り、様々な視点でご自身の活動テーマに切り込んでいっているのが印象に残っています。
現在考え中の構想について、お目見えする日を楽しみにしています!

-コーディネーター紹介-

ID 静岡県南伊豆町

とみより ゆうな

冨依 優奈

横浜市出身。大学卒業後、2020年にModis(旧VSN)へ入社。
ITエンジニアとして、セキュリティ診断やサーバー運用などに携わる。
人の生活と距離の近い活動がしたいと考えていたところ地方創生VIを知り、2021年から南伊豆町チームに参画。