人との繋がりを大切に、もっと町にひらかれた場を目指して

福島県矢祭町

みどりかわ ひろこ

緑川 宏子

福島県矢祭町出身。18歳で高校を卒業後、42年間矢祭町役場に勤務。矢祭町もったいない図書館5代目図書館長。公民館長も兼任している。

一どんな活動をしていますか?

主にもったいない図書館全体の計画に関わる仕事が中心ですが、司書さんや図書館職員のサポートからイベントの運営まで、幅広く活動しています。
当初図書館に来た時に感じたのですが、部分部分の仕事だけしていると、中々仕事の全体像が掴めない。なので私も司書さんも、現場の作業から計画まで一から全て経験して、まずは全体を理解するということ大切にしています。職員が困っていることなども、理解してあげられるといいなと。

一お仕事の中で一番大切にしていることはなんですか?

利用者さんや地域の皆さんとの関わりから、皆さんの声を受けとめることを大切にしています。図書館を運営する側として、「自分がどう動くか」と「利用者さんがどうして欲しいか」が一致しないと、図書館づくりはできないなと感じます。
特に乳幼児期からの読書には力を入れたいなと感じており、読み聞かせのガイドブックや赤ちゃんおはなしかいなども開催しました。以前赤ちゃんがいる保護者の利用者さんから「子どもが眠る前に読み聞かせしていると、つい一緒に寝てしまうんです」というあたたかいエピソードも聞くことができて、少しずつでも身近に本のある家庭環境が増えると嬉しいですね。

  • 矢祭町役場では戸籍窓口や福祉、総務など様々なお仕事を長年勤める中で、生涯学習の分野に重要性を感じ、退職後公民館長と図書館長を務めている。

  • 新型コロナウイルス対策として、貸し出した本などは全て職員自身の手作業で除菌を行なっている。

一図書館の好きなところ、おすすめポイントを教えてください

赤ちゃんコーナーですね。周りが本に囲まれていてあたたかみがあり、ホッとするスペースかなと。受付カウンターから近いのもとても良くて、常に目が届くのと、利用者さんともコミュニケーションが取りやすいです。

また子ども司書講座は、図書館の設立の際に協力してくださった皆さんに「読書の町づくり」を通してなにかお返しがしたいと考え、子どもたちに図書館の司書がどのような働いているのか?を知って体験してもらうキャリア教育の一環として設立した経緯があります。
本を寄贈していただいた皆さまに、図書館を有効活用していくという姿勢でお返ししていきたいと思っています。

一今後の目標や展望を教えてください

新たに「読書活動推進条例」を定めて、子ども読書の日や町民読書の日を制定しました。そういった日を町民に知ってもらい、共に手を携えて本を楽しむような場づくりへの足がかりになることが、今後の目標ですね。通常図書館は本を借りるだけの空間ですが、より町民が自由に集まり楽しめる空間として変えていきたいと考えています。

これは想像ですが、例えば「手づくり絵本の部屋」なんかあると面白いなと思います。
歴代の手づくり絵本コンクール受賞作が並んでいる部屋で、自由に紙や画材が使えて、自分たちで自由に絵を描いて、それをその場で保護者さんが製本できる。実現するとなるとまた難しいですが、その側で大人はゆっくりカフェでくつろげるなど、利用者それぞれに合わせた空間が実現するといいですね。

アピールポイント

緑川館長がもったいない図書館でおすすめする「赤ちゃんコーナー」。本棚に囲まれたあたたかな空間で、子ども自身が本を選んだり、訪れた親子が自分たちで読み聞かせをしたりする。受付カウンターとの距離も近く、図書館スタッフと利用者の間で自然にコミュニケーションが生まれるスポットに。

-コーディネーター紹介-

とても気さくで明るく、長年の利用者さんとはいつも親身にお話ししている緑川館長さん。普段から図書館で一緒に活動させていただく中で、館長さんはいつも利用者の皆さんにより利用しやすく、安心できる場にすることを大切にしていると思います。館長さん自身の、図書館が町民にとって更に楽しめる場になるようポジティブに取り組んでいく姿勢を、これからも図書館の魅力につなげていきたいなと感じるインタビューでした。

ID 矢祭町

ひらもとはるか

平本晴香

東京都稲城市出身。1997年生まれ。前職はグラフィックデザイナー。趣味はイラストや音楽。2021年10月より矢祭もったいない図書館の地域おこし協力隊として、読書のまちづくりを推進する活動を行っている。