「七代」前から続く、日々の営みを伝えつづける場所

長野県上伊那郡中川村

ヨネヤマ エイコ

米山 永子

1977年1月6日中川村生まれ。 築160年の古民家で味噌づくり体験をメインとした体験・参加型の民泊を営む。

一どんな活動をしていますか?

自分の生まれ育った本棟造りの実家を修理しながら体験型、参加型の宿「古民家七代」を営んでいます。 味噌づくりは、火をおこして大きな釜で大豆を炊くところから体験してもらいます。 能登の珪藻土切り出し七厘と松本の信濃白炭を使い、旬の食材を炭火焼で。シンプルだけれど上質な晩ご飯を、みんなの手で作ります。火を囲んでの食事はとても豊かな時間ですよ。 その他に、竹細工の講師を招いてかごを編んだり、炭焼きを学びつつ夜は日本酒を楽しむ、などコンセプトのある「合宿」も開催しています。

一はじめたきっかけはなんですか?

今から12年前、5年間勤めた会社を辞めて実家に戻りました。少し疲れたんですよね。お金はたくさん稼ぐことは出来たけど、これでいいのかな?って。 そして約100日間の世界一周旅行に出ました。カルチャーショックの連続で多くの刺激を受けました。それにより学んだことや、気づいたことは自分の暮らす日本は、中川村は、なんて豊かで恵まれているのかっていうことでした。実家が農家なので、そのこともとても恵まれているって気がついたんです。 実家を立て直すのにあたって取り壊す話になっていた七代の建物を守り、伝えていきたいと思い民泊の許可を取りました。シロアリの猛攻を受けたときはもう本当に駄目かと思ったけど、なんとか乗り越えました。 村の公民館講座で作った手作り味噌が美味しかったのをきっかけに、友人たちを誘って発足した「みそ部」も今では七代の顔です。

  • 前の日の昼間から浸水し充分に水を吸った大豆は、大きな釜に入れて、朝からおこした火でふっくり柔らかく炊き上げられる。 あたたかな、お豆のかおりの湯気に笑顔がこぼれる。

  • 味噌仕込みが一段落したら、こたつにあたってお茶を飲みながら、感想をシェア。 黄金色に輝く自家製の干し芋は、卓上の七厘で炙ると絶品。 1年もの、2年ものの味噌の食べ比べをすると、味の違いに参加者はおどろく。

一一番大切にしていることはなんですか?

味噌や食材、炭など食事につかうものの「顔が見える関係」というのがこだわりです。 晩ご飯を一緒に作るということもそう、出来上がった食事を提供するのなら、レストランに行けばよくて。ここでは宿泊のお客様が楽しんでもらえる範囲で一緒に手を動かして食事を作る時間を共有する。そういうのが好きなんです。好きなことをやる、って言うのがこだわりかな。

一今後の目標を教えてください

地域活動として、友人を誘って始まった「みそ部」とう部活が今は大事な自分の生業になっています。 生業としてあることも大切ですが、味噌づくりや、身近なところにたくさん生えている竹を燃料に使ったり竹細工で暮らしの道具を作ったり、こういう文化を次世代に伝えていくのが目標です。

アピールポイント

【体験メニュー】 ・味噌仕込み(冬〜春) ・竹細工(夏〜秋) ・七輪の炭火焼(ご夕食に含まれます) など 【宿泊プランのご案内】 一日一組様限定(二名〜八名様まで) 15,000円〜(お一人様 一泊二食付) ・寝室は、8畳が2間あります。  ・お風呂は村の望岳荘へ行きます (別途入浴料400円)。 ・体験メニューは別途料金となります。

-コーディネーター紹介-

七代で体験出来ること、学べること。それはどれも少し古風なもの、だけど日々の暮らしを美しく愛おしく感じさせてくれるものだと思う。 今の時代は忙しく毎日が繰り返されていくけれど、「丁寧に暮らす」心がけをほんの少しする(例えば握ったおにぎりをお皿に並べるとき、庭で摘んだ何かの葉っぱを敷いてあげる)だけで、なんだか贅沢な気持ちで日々を過ごせて、その小さな贅沢を感じられることが幸せなんだって、思い出させてくれる場所が七代であり、永子さんの人柄なのだと思います。

ID157 長野県上伊那郡中川村

たかはし しおり

髙橋 詩織

1988年1月6日生まれ。関東で大学生活の後、長野に戻ってアルプス暮らし。 冬は北アルプスで雪まみれ。夏は南アルプスで山小屋生活。その後2016年6月より地元、松川町のお隣村である中川村で地域おこし協力隊として活動中。 野山の食べ物に興味津々。健康的で機能的なおやつ(行動食)作りの研究中。 「おいしく、楽しく。山で暮らすスキルを身につける。」をモットーに、村で獲れた鹿や猪の解体・販売をしています。