いなまち朝マルシェを通じて新たな街の姿を発信

長野県伊那市

コマツ ジュン

小松 純

「いなまち朝マルシェ」の実行委員長として企画や運営を担う。ふだんは自然素材の服やもの、リサイクル素材のものや古道具など扱う『チプカとプクチカ』のショップオーナー。

一どんな活動をしていますか?

6~10月の毎月最終日曜日に「いなまち朝マルシェ」というイベントを商店街の中にある公園で開催しているのですが、その運営業務を行っています。 イベントでは伊那の農家さんが自分のところで育てた採れたての野菜や果物、ハーブを販売するほか、町のごはん屋さんがつくる野菜たっぷりのおいしい朝ごはんも楽しめます。 3時間程度の短いイベントなのですが、おかげさまで毎回300~400人ほどの方が来てくださっています。

一はじめたきっかけはなんですか?

商店街の近くに使われていない公園があって。 「こういう場所に、農家さんが好きなときに来てお店を出せたらいいのにね」と、もう一人の発案者である『ワイルドツリー』の平賀さんと話したのがきっかけでした。 あとは、商店街のことをもっと知ってほしいという思いもあって。たとえば500円で刃物をピカピカに研いでくれる金物屋さんとか、じつはいい紙を売っている紙屋さんとか、みんなに教えたいお店がたくさんあるんです。 イベントをきっかけに、「ちょっと商店街にも立ち寄ってみよう」、「ちょっとお店をのぞいてみよう」という方が増えてくれたらうれしいですよね。

  • ふだんはショップオーナーとして店を切り盛りしている小松さん。もんぺをはじめ、自作の洋服や小物なども扱っている。写真は愛用のミシン。

  • 『チプカとプクチカ』で使っている手づくりハンガー。なんと段ボールでつくられている。商品も「土から生まれて土に戻る」ナチュラルなものばかり。

一一番大切にしていることはなんですか?

イベントにただ人がたくさん集まればいいというわけでは決してなくて。 原点にある「伊那で暮らすことの贅沢さや豊かさをあらためて伝えていきたい」という思いは忘れないようにしていきたいですね。そういうことって暮らしているとつい忘れてしまいがちですが、私は東京で暮らしていた期間もあるので、伊那の野菜が、どれだけ新鮮で、おいしくて、安いかということを知っている。 農家さんから「おいしく食べるためのちょっとしたコツ」や「たくさん手に入ったときのうまい調理方法」なんかを直接教えてもらいながら野菜が買える、というのもマルシェならではの贅沢だと思っています。

一今後の目標を教えてください

オール伊那産のものづくりプロジェクトを立ち上げてみたいなという思いはありますね。 規格外のリンゴを使ってシードルをつくったり、加工のしづらい材木や端材で家具や小物をつくったりと、いま、“メイドイン伊那”のものがあちこちで生まれてきているので。 たとえば、綿花から育てて綿をつくり、染色まで自分たちの手でして、一からつくったものをアンテナショップ『銀座NAGANO』で販売するとか……。なんだかおもしろそうだと思いませんか?

アピールポイント

「朝マルシェ」のほかにも、お仕事帰りにふらりと立ち寄れる平日夕方からの「夜マルシェ」というイベントを9月に予定しています、毎年冬には「お野菜カフェ」といって、農家さんを囲んでおしゃべりをするイベントなども開催しているのですが、こういった新しいことにもどんどん挑戦できたらいいなと思っています。マルシェの会場ではステージを設けているので、買い物や食事のほか、歌や音楽演奏、踊りなども楽しめますよ。

【いなまち朝マルシェ】
開催日:6~10月の最終日曜
開催時間8:00~11:00
会場:伊那市セントラルパーク(伊那市荒井3384)
電話:0265-96-0438(ワイルドツリー)

【チプカとプクチカ】
営業時間:10:00~18:00
休み:日•水 住所:伊那市西町4869
電話:0265-98-7568
HP:http://chipuka-pukutika.sblo.jp/

-コーディネーター紹介-

純さんのお店「チプカとプクチカ」は、僕が何もしなくても南信(長野県南側)の協力隊が勝手に見つけてやってくるお店です。伝播する穏やかな空気感のようなものがあるのかなと思っています。今年は寺子屋マルシェやナイトマルシェといった企画を主体的に産んでくれていて、市役所への書類もしっかり。オーセンティック・リーダーとは、こういう人がなっていくのかなとも思ったりしています。

ID9 長野県伊那市

さいとう しゅんすけ

齋藤 俊介

地域の有機農家と商店街の飲食店と市民の三者をつなぎ「母子で朝食の時間を過ごす」場を提供する「朝マルシェ」、南アルプスと中央アルプスという二つの山岳地域へ訪れる登山者に地域ならではの価値提供を行い街や人をつなぐ「ASTTALプロジェクト」を企画しオルタナS・地域デザイナーズアワードをダブル受賞。16年は中心市街地全体を学校に見立て「路地の一つ一つに学びとの出会いがある」をテーマとした「学びのまちプロジェクト」のサポートを手掛け、持続的な取り組みへと伴走している。