信州大学の学生と町の人をつなぐ新コミュニティ

長野県伊那市

タナカ フミカ&ミョウセ エリ

田中 史香&明瀬 愛里

信州大学Antenna Campus代表&メンバー。 代表を務める長野県松本市出身の田中さん(写真右)は農学専攻の大学院生。メンバーの明瀬さん(写真左)は熊本県出身の農学部4年生。

一どんな活動をしていますか?

信大生と伊那の町の人たちが、ゆるく楽しく関わりあえたら、という想いで『信州大学 Antenna Campus』というコミュニティを2016年5月に立ち上げました。 大学と町をつなぐ第1弾のイベントとして行ったのが「読書会」。 絵本を朗読したあとに、感想を言い合ったり、雑談をしたり。みんなで持ち寄った端切れ布を縫い合わせて、ひとつの大きな敷物をつくったりもしました。 読書会は、作品やテーマを変えて、今後も月に1回のペースで開催していく予定です。

一はじめたきっかけはなんですか?

私たちが通っている信州大学農学キャンパスは町からやや離れた場所にあるので、せっかくならば商店街に住みながら大学に通いたいなと思っていたんです。 結局、商店街で部屋は借りなかったのですが、長野県塩尻市で、商店街の空き家を使ってイベントなどを行う人気プロジェクトがあると知り、たとえば、 「学校の近くに住んで、商店街に入り浸る」 という選択肢もありなんだと感化されました。 大学と地域の人をつなぐコミュニティがつくれたら、と思っています。

  • 「読書会」の準備風景。第1回目は1冊の絵本をテーマに語り合ったが、「テーマに合わせて、思い思いの本を持ち寄ったりもしてみたい」と田中さん。

  • 伊那の材木を使ってつくった手づくりの看板。今後はイベント会場やオープンコミュニティなどに置いて、存在や活動内容をアピールしていきたいという。

一一番大切にしていることはなんですか?

「まずは自分たちが楽しむこと」。 その上で、どうしたら他の人たちに楽しんでもらえるのか、ということを考えていきたいですね。 “楽しさ”と同時に大切にしたいのは“学び”の姿勢。なんとなく雑談をする中でも、新しい発見や学びというものがあると思うんです。 それが、年齢も経歴も違う町の人が相手ならなおさら。「好奇心を胸に町に出よう」という気持ちを忘れずに、活動を続けていきたいと思っています。

一今後の目標を教えてください

大学の近くにはお店がないので、まずは学生たちが集えるサードプレイスをつくりたいですね。 そこを拠点にAntenna Campusの活動ができたらと思っているのですが、その場所に町の皆さんを招いて“こたつでフューチャーセッション”なんてできたらおもしろそう! ほかにも、大学の演習林を使ってイベントを開いたり、町のイベントを大学生がお手伝いしたり……やってみたいことはいろいろあります。

アピールポイント

現在活動しているメンバーは私たちも含めて5名。全員が信州大学の農学キャンパスに通う学生です。いまは、週に1度は集まって今後の活動について話し合っているところですが、自分たちのイベントを企画するだけでなく、町のイベントにも積極的に参加して、町の人たちと内側からかかわっていけたらいいなと思っています。一方で、町の情報がキャンパスまで届きにくいので、大学の掲示板を活用して、町で行われるイベントの告知も学生たちに向けてしていきたいですね。交流を通じて、大学生には“学び”を、町の人には新たな“発見”を提供できたらうれしいです。伊那の町の皆さん、大学生は時間も体力もあるので、結構使えます(笑)。なんでも協力するので、どんどん声をかけてください。一緒に楽しみましょう! 学びましょう!

-コーディネーター紹介-

この夏に出会ったばかりですが、積極的に一緒に動いてくれています。「自分の世界を拡げて共感を得る」か「自らがまず手を差しだすことから人と人の和を大きくする」の話で迷わず後者を選びました。先鋭的な地域の実行者がメディアでは報じられやすいのですが、僕はこうした横糸を縫う人の存在こそ、深さや広がりといったクオリティを決定する鍵と考えています。彼女たちが楽しく様々な経験を得られるよう頑張ります!

ID9 長野県伊那市

さいとう しゅんすけ

齋藤 俊介

地域の有機農家と商店街の飲食店と市民の三者をつなぎ「母子で朝食の時間を過ごす」場を提供する「朝マルシェ」、南アルプスと中央アルプスという二つの山岳地域へ訪れる登山者に地域ならではの価値提供を行い街や人をつなぐ「ASTTALプロジェクト」を企画しオルタナS・地域デザイナーズアワードをダブル受賞。16年は中心市街地全体を学校に見立て「路地の一つ一つに学びとの出会いがある」をテーマとした「学びのまちプロジェクト」のサポートを手掛け、持続的な取り組みへと伴走している。