ソウルフード「ローメン」をきっかけに町づくり

長野県伊那市

ヒラサワ マサタカ

平澤 正貴

伊那ローメンファン倶楽部部長/学びのまちプロジェクト代表。 1973年5月13日生まれ。伊那市出身。ローメンを通じで出会った仲間らと伊那の町を盛り上げようと考えている。毎月誰かにローメンをごちそうする企画「部長ローメン」が好評。

一どんな活動をしていますか?

『伊那ローメンファン倶楽部』の活動からさらに派生し、伊那の商店街を大きな学校に見立てて生活の知恵などを学ぶ『学びのまちプロジェクト』を立ち上げました。 現在は、定期的にメンバーと集まり、町おこしの企画や町の魅力について話し合いを行っています。 『伊那ローメンファン倶楽部』の部長としては、月に1度誰かにローメンをごちそうする「部長ローメン」という企画を実施。 ローメンを介して、年齢も職種もさまざまな人たちと親交を深めています。

一はじめたきっかけはなんですか?

もともとはB1グランプリにチャレンジするための手伝いをしていたんです。 県外の人がローメンをおいしそうに食べてくれるのが、故郷をほめられているようで、なんだか嬉しくて。そういった姿を見るうちに、次第に、一過性のイベントではなくローメンをツールに地域おこしができないかと考えるようになりました。 「ローメンを通じて知り合った仲間と、伊那を楽しく元気にしたい」。 そんな想いで、町おこし団体『伊那ローメンファン倶楽部』を発足しました。

  • 『お食事処 四万路(すまろ)』のマトンローメン。ソース風味の豚骨スープが和えられていて、思いのほかやさしい味わい。ただし、ニンニクは効いている。

  • 月に1度の人気企画「部長ローメン」。近しい友人だけでなく、ほぼ初対面の人にごちそうすることもあるという。ローメンを食べながら、親睦を深める。

一一番大切にしていることはなんですか?

「個性を認めること」ですね。 「部長ローメン」で一緒に食事をする方はもちろんのこと、『伊那ローメンファン倶楽部』の部員や『学びのまちプロジェクト』の参加者は、年齢も性別も経歴も職種もバラバラ。 さまざまな人たちと出会い、集まることで、新しいアイデアがひらめいたり、おもしろいことが生み出されると思っているので、自分の物さしで測るのではなく、相手の個性やキャラクターを尊重してコミュニケーションをとることを心がけています。

一今後の目標を教えてください

ソウルフードであるローメンを通じて、これからも仲間を増やしていきたいですね。 伊那で生まれ育った誇りを胸に、皆で楽しく町のために活動ができたらいいな、と。 『学びのまちプロジェクト』の活動も2016年3月に始動させたので、ゆくゆくは補助金なしで運営する“まちで学べるコミュニティづくり”のモデルパターンにもなれたらいいなと思っています。

アピールポイント

ローメンは、60年ほど前から食べられている伊那地方のソウルフード。マトンとキャベツに、蒸し麺(深蒸しした中華麺)を加えて炒め、ソースやニンニクなどで味付けした麺料理です。スープを和えたものと、焼きそばタイプのものがありますが、どちらも「ローメン」。食べ比べてみるのもおもしろいかもしれません。ローメンは「ソースかつ丼」と並ぶご当地グルメで、伊那界隈の80近い店舗で食べることができます。味付けはされていますが、卓上に置かれたゴマ油やソース、ニンニク、酢、七味などでお好みの味にカスタムしてお楽しみください。きっとクセになるはずですよ。『伊那ローメンファン倶楽部』の部員や『学びのまちプロジェクト』の参加者も随時募集中。楽しく集いながら、一緒に伊那の町を盛り上げていきましょう!

-コーディネーター紹介-

ローメンの市民代表イメージも強いのですが、その奥底にあるコミュニティをつなぐ担い手としての側面にスポットが当たってほしいと常々思っています。朝マルシェをはじめとした多くの市民活動において、準備や撤収といった不可欠な部分で縁の下の力持ちを無償で務めてくれています。今年からは学びのまちプロジェクト主催者にもなり活動の幅を拡がってきており、率直に期待しています!

ID9 長野県伊那市

さいとう しゅんすけ

齋藤 俊介

地域の有機農家と商店街の飲食店と市民の三者をつなぎ「母子で朝食の時間を過ごす」場を提供する「朝マルシェ」、南アルプスと中央アルプスという二つの山岳地域へ訪れる登山者に地域ならではの価値提供を行い街や人をつなぐ「ASTTALプロジェクト」を企画しオルタナS・地域デザイナーズアワードをダブル受賞。16年は中心市街地全体を学校に見立て「路地の一つ一つに学びとの出会いがある」をテーマとした「学びのまちプロジェクト」のサポートを手掛け、持続的な取り組みへと伴走している。