『複合施設』のような多機能なゲストハウスをめざして

長野県伊那市

ウズハシ トシノリ&サキ

埋橋 智徳&幸希

ゲストハウス『赤石商店』オーナー。 岡山県津山市出身の智徳さん(1985年3月10日生まれ)と長野県箕輪町出身で奥様の幸希さん(1984年4月21日生まれ)ご夫妻。10年以上を過ごした東京を離れ、家族で伊那市に。

一どんな活動をしていますか?

 祖母の生家を改装し、2016年3月にゲストハウスを開業しました。部屋は男女混合(6床)と女性用(4床)のドミトリーが各1部屋と個室(8畳)が1部屋。素泊まりの宿ではなく、ご希望があれば朝食も提供しています。いまは子どもがまだ小さいため朝食のみの対応ですが、いずれは夕食も提供していく予定。パブリックスペースにはカウンターもあり、夜はゲストのためにバー営業も行っています。月に1~2回のペースでさまざまなイベントも開催しています。

一はじめたきっかけはなんですか?

 東京は刺激のある町ですが、子育てや将来のことを考えると、これから先何十年も過ごす場所ではないように感じていました。地元に帰ったのは、11人兄弟で育った祖母の生家が空き家状態で残っていたというのが大きかったですね。なにか接客業をしたいと思っていたので、ここを使わない手はないな、と。 ゲストハウスには4年ほど前、沖縄を訪ねた際に初めて泊まったのですが、そのときの宿の雰囲気に感動したというのも、開業のきっかけの1つになりました。

  • 予約制で提供している健康的な朝ごはん(別途700円)。智徳さんの実家でつくられた玄米を供する和食の日と、天然酵母パンを中心にした洋食の日がある。

  • 食堂やイベント会場としても使われているパブリックスペース。広々とした空間なので、それぞれが気に入った場所で思い思いに過ごすことができる。

一一番大切にしていることはなんですか?

 「ほどよい距離感」ですね。ゲストハウスというと、「みんなで輪になって過ごしましょう」といった雰囲気のところも多いですが、私たちがめざしているのはむしろ山小屋のようなスタイル。1人で静かに過ごしたい方もいらっしゃるでしょうし、思い思いに過ごしていただければと思っています。もちろん、お客様から求められれば、積極的なコミュニケーションもとりますよ。心がけていることは、“やりすぎない”こと。適度な“ほっとき”がモットーです。

一今後の目標を教えてください

 宿の向かいにある倉庫で週替わりのお店を開いたり、アトリエにして展示会を開いたりしたいですね。蔵は音響がいいので、音楽室にして「1人映画館」が楽しめるようにしてみてもおもしろいかな、と。ゆくゆくは夕食も提供していきたいと考えているので、自家農園にも挑戦してみたいですね。たとえばその一部を市民農園にして貸し出したり、ワークショップを開いて地域とつながったり。複合施設のような多機能な宿にできたら、と思っています。

アピールポイント

単なる宿泊施設ではなく“多機能な宿”として展開していきたいという想いから、屋号に『商店』とつけました。いまはまだ開業したばかりで、子どもも小さいことから、なかなか思いどおりの活動ができていないのですが、故郷の中国地方のお酒を集めた「日本酒ナイト」やインドカレーやインド音楽を楽しむ「インドナイト」、ヴィーガン料理でもてなす「ヴィーガンイベント」など、ジャンルを問わずさまざまなイベントを月に1~2回のペースで行っています。静かに過ごせる時間、落ち着いて眠れる快適な空間、おいしい料理が自慢のゲストハウスです。
【赤石商店】
宿泊料金:個室(中学生以上)4500円、ドミトリー(中学生以上)3500円。
受付時間:チェックイン16:00~22:00、アウト10:00
電話:0265-96-0370
住所:伊那市東春近22-5
HP:http://akaishi-shouten.com/

-コーディネーター紹介-

伊那地域のアカマツ床材がふんだんに使われた空間が素晴らしく、ライブや演劇スペースとしても活用がされています。僕の方でも機会のあるごとにワークショップ会場としてお借りしています。今年生まれた二代目や柴犬の成長も楽しみで、地域に愛される場として期待がかかります。登山対応を想定してくれているので、来シーズンは南アルプスでのモデルプランを行ってみたいですね!

ID9 長野県伊那市

さいとう しゅんすけ

齋藤 俊介

地域の有機農家と商店街の飲食店と市民の三者をつなぎ「母子で朝食の時間を過ごす」場を提供する「朝マルシェ」、南アルプスと中央アルプスという二つの山岳地域へ訪れる登山者に地域ならではの価値提供を行い街や人をつなぐ「ASTTALプロジェクト」を企画しオルタナS・地域デザイナーズアワードをダブル受賞。16年は中心市街地全体を学校に見立て「路地の一つ一つに学びとの出会いがある」をテーマとした「学びのまちプロジェクト」のサポートを手掛け、持続的な取り組みへと伴走している。