ぶどう畑と古民家 -移住で築いた暮らしとは-

長野県駒ヶ根市

アンドウナオト・サトミ

安藤直人・里美

南信州駒ヶ根市。伊那谷と呼ばれる天竜川に沿って河岸段丘が連なる豊かな風景。4年前に安藤夫妻は市内の中沢地区に東京からIターンで就農しました。農業経験は無かったけれど、暮らしのイメージは決まっていました。宝石のような果物を育てたい。薪ストーブでコトコトとシチューが煮えるようにゆっくりと日々の生活を楽しみたい。そんなお二人の農業と暮らしについてうかがいました。

一どんな活動をしていますか?

里山地域でぶどうを中心に果樹栽培をしています。ぶどうでは色とりどりな大粒品種を7種類栽培しています。他に桃と柿を栽培しています。桃はあかつきという品種です。柿は平核無柿(ひらたねなしがき)という渋柿で干し柿に加工して販売しています。自宅(築60年ほどの民家)をセルフリノベーションしながら暮らしています。

一はじめたきっかけはなんですか?

「自然に囲まれて暮らしたい」という思いから3年前に東京から移住しました。旅先で美しいぶどう畑と出会い、ぶどうを育てながら暮らしたいって思うようになりました。修復や建築設計の経験があったのでセルフリノベーションを計画。中央アルプスの千畳敷が美しく見える駒ヶ根でIターン就農を決意しました。

  • 安藤夫妻の前職は建築関係。現在のご自宅もセルフリノベーション。フローリングは信州上伊那産のカラマツ材です。農作業の合間にコツコツと床貼り。設計に携わっていた経験を活かし夫婦で図面を描き施工しています。薪ストーブも設置しエコな暮らしをしています。生活を楽しむ技術も持っているからこそ、手づくり感ある居心地の良いご自宅でした。

  • お料理が得意な里美さん。干し柿をドライフルーツとして練りこんだビスコッティをいただきました。「信州は美味しい食材が身近にあって、料理の幅も広がりました」とのこと。裏の畑から必要な分だけ、野菜を収穫できる暮らしって憧れます。

一一番大切にしていることはなんですか?

職人気質が強いので、妥協せずコツコツとこだわり抜いてつくることを大切にしています。「美味しいもの」って美しくないですか?食べたいと思うから「美味しそう」に見えるんです。身体が求めているから「美しく」見えると思うんですよ。少し欲張りですが「美しくて美味しいもの」をつくりたいです(笑)。 それから、農業(仕事)と生活を分けて考えるのではなく、農業を含めた日々の暮らしを大切にしています。

一今後の目標を教えてください

背伸びをしないで、自分の暮らしにちょうど良い農業を営みたいです。その上で、納得したこだわりの果物や加工品をつくりたいですね。中山間地では効率的な農業はしにくいです。しかし、こだわりの農業はしやすいのではないでしょうか? 移住してから、慌ただしく始まった新しい暮らしは、次第にゆっくりと心地よいペースになってきました。何気ないけど農作業の手を休めて、中央アルプスの山々を見ながら2人で休憩する時間だって最高の贅沢です。自宅リノベーションの続きもやりたいです。何より「暮らすこと」を大事にしたいですね。

アピールポイント

南信州の太陽とアルプスの水で育った果樹園ではぶどう(ナガノパープル・シャインマスカット・巨峰など)、桃(あかつき)が瑞々しくとても美味しいですよ。冬の手作りのコロ柿(干し柿)も噛むほどに自然な甘さで絶品です。 <問い合わせ先> 十文字ガルテン http://j-garten.com/

-コーディネーター紹介-

「暮らすこと」が何よりも大事。移住に際して自分が大切にしたいことに、立ち返るようなお話を聞かせていただきました。美しいこと、美味しいことが暮らしの中で創られるなんて、素晴らしいですよね。ぜひとも、宝石のような果物をご賞味あれ!

ID141 長野県駒ヶ根市

ふくとみ がく

福冨 岳

栃木県出身。淡路島にある景観園芸の専門機関で勉強した後、造園会社で東京を中心に指定管理者として都市公園の緑地管理やマネジメント、市民ボランティア事業の実務を担当しました。 2015年から3年任期の地域おこし協力隊として駒ヶ根市に移住。現在は農産物の6次産業化をテーマに商品開発などの推進・掘り起しの業務をおこなっています。雄大な中央アルプスと南アルプスを身近に感じながら四季折々、今日も市内各所に出没中です。facebook / instagram # fukutomi_botanical