産・学・官をつなぐ仕事人。女性キャリアコンサルタントの実情と日常。

長野県上伊那郡南箕輪村

トミオカ ジュンコ

富岡 順子

1984年6月生まれ。絶賛子育て中の働くママさん。新潟県新潟市出身。高校在学中からキャリア教育に興味を持つ。大学在籍時には健康心理学を専攻し、行動科学について研究。中・高の教員免許を取得するも、卒業後は地元の銀行に就職。窓口事務や個人融資等を担当。そこで産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を取得。結婚を機に銀行を退職後、神奈川県や東京都を転々とし、2年前に長野県南箕輪村に移り住む。昨年は南箕輪村キャリア教育推進コーディネーターとして活動。平成29年4月(平成29年3月現在)に第2子を出産予定のため、一度その座を退いたが、現在もフリーキャリアコンサルタントとして活動中。

一どんな活動をしていますか?

 世界経済・日本経済の変容、そしてAI(人工知能)の台頭など、現在私たちを取り巻く環境は日々変化しています。今までの一般的な生き方としては教育機関を卒業したら就職して定年まで働き、退職後は余生を過ごすというような時代でしたが、それが徐々に通用しなくなってきています。まさに、今の学生たちはその際(キワ)に立たされている状況です。世の中がこんなにも変化しているにもかかわらず、学校教育は変化に追いついていません。子どもたちは将来、何かしらの高い壁にぶち当たる可能性があると思います。そんな時に解決してくれるのは子どもたち自身が持つ“生きる力”です。その“生きる力”を養っていかなければならない、またそのような環境を作っていかなければならない。私は南箕輪村キャリア教育推進コーディネーターとして、昨年そのような場を提供できるように、主に村内の子どもたちのキャリア教育プログラムを考えていました。  中学生向けの『働く大人10人との座談会』を始め、起業する力や考える力を養う『アントレプレナーシップ』。また、私自身も一先輩として、子どもたちの前でお話ししたこともありました。ほかにも村内外の人を始め、学校の先生や生徒も活用できるお仕事データバンクの『南箕輪村まっくんのオシゴト☆ズカン』の立ち上げも行いました。  また、子どものキャリア教育だけでなく、働くママさん・子育てママさん向けのキャリアサポートも行ってます。

一はじめたきっかけはなんですか?

 私がキャリア教育に興味を持ち始めたのは、高校時代の進路指導の時でした。学校の先生は民間企業を経験した人が少なく、どこの学校、学部に行けばどんな就職先があるといったリアルな話がなかなか聞けませんでした。そんな思いもあって、当時は民間を経験してから教員になろうと思っていました。   また、新潟県の超進学校に入学したことも転機でした。中学時代は学年でも成績トップクラスだったんですが、高校に進学すると見事に落ちこぼれ組になりました。勉強が分からないからどんどん嫌いになるという負のスパイラルを味わいました。いくつも出てくる公式や教科書に小さく載っている細かな知識が将来何の役に立つのかとさえ思っていました(笑)それでもどうすれば勉強ができるようになるのかめちゃくちゃ悩んで心理学の記憶の本とか読むようになりました。目の前の勉強は嫌いだけど、早く大学に行って学びたいと大学案内のパンフレットに想いを馳せていました。そして大学に進学して、『体験を通して記憶に残る生徒にとって能動的な授業』なんかも研究しました。現在の学校教育が抱える問題等が私を学校教育・キャリア教育の道に導いてくれました。 また結婚を機に、私自身のアイデンティティを見失ったこともキャリア教育に興味を持った一つの要因としてあります。これは転勤族の夫を持った私だからこそできた悩みかもしれませんが、結婚をして自分の姓が変わり、仕事をしなくなり、知らない土地に住んで、初めて“孤独”を味わいました。「自分って誰なんだろう?」「何のためにここに住んでるんだろう?」「今住んでいる地域で自分を知っている人は果たしているのだろうか?」今まで無意識に持っていた“自己肯定感”がコミュニティを失ったことで一気に無くなりました。『結婚=幸せなゴール』というという今まで持っていた概念がものの見事に打ち砕かれた時期でもありました。そんな私を救ってくれたのが地域の図書館や公民館、そして趣味で学生時代から続けていたソフトテニスでした。図書館や公民館に行くと自然と顔見知りや友人が増え、地域のソフトテニスクラブに通い始め、共通の趣味を持った仲間を作ることができました。初めて地域に溶け込めたと感じた瞬間であり、同時に行政のありがたみや地域内でのつながりの重要性を改めて実感した瞬間でした。このような活動や趣味が人と人とをつなげるきっかけ作りになり、自分の居場所を作ることができる。これは生まれてからここまで培った経験・経歴、いわゆるキャリアがそうさせてくれたんだなと思いました。  居場所は自分で作る!勉強ができるだけで片づけることのできない時代、自分自身で考え、動かなければいけない時代になってきたんだと!感じさせられました。

  • お隣の伊那市春富中学校で行われたキャリア教育座談会。富岡さんもパネラーとして参加。

  • 富岡さんが立ち上げた『まっくんのオシゴト☆ズカン』。地域おこし協力隊も取材してもらいました。
    南箕輪村公式HP内リンク

一一番大切にしていることはなんですか?

 セミナー受講者や生徒からの反応がダイレクトに返ってくることがやりがいの一つです。「考えるきっかけになった」「視野が広がった」というお言葉を頂戴するととてもうれしいです。  ただし、キャリア教育とは難しいもので、実際にその時に役立っても、それが果たして正しい答えだったのかは、数年経たないと分からないわけです。『よのなか科』を初めて学校教育に導入した藤原和博氏は、これからの時代は「正解」ではなく、「納得解」を作り出す力が大切だと言っています。様々な情報や経験をもとに自分自身で考えて、悩んで、そして自分で決断する。昨年、私が担当した生徒が将来“納得した”キャリアを築けていることが、最高なご褒美なわけです。それがわかるのは5年後10年後の先の話しですね。  こだわりは、担当する生徒の温度差を見極めること。できるだけ同じ目線にたち、大人の意見を押し付けず、自由な発想、個人個人の想いを尊重してあげることです。そして考える幅や選択肢の幅を広げさせるために、私はヒントや気づきを与え続けたいなぁと思っています。

一今後の目標を教えてください

 相談者にもっとよりよい情報提供ができるように、勉強は不可欠です。コンサルティングの技能を高めつつ、時代の変化等も追っていかなければなりません。今後も自己研鑽をしながら相談者がいかに自分の生き方に納得して生きられるかを手助けしていきたいです。そしてこれからは、超高齢化社会故、キャリア支援を必要とする人が増えてくると感じています。一人ではなかなか難しいところがあるので、この地域でキャリアについて考える機会を増やし、キャリアコンサルタントを養成できるような仕組みを作れたらいいなぁ・・・!他にも社会と学校をつなぐキャリア教育プログラムの考案、提供などやってみたいことがたくさんあります!とにかく生活する人がイキイキと生きるそんな地域になるように頑張ります。

アピールポイント

 ソフトテニス歴は23年になります。学生の頃は全国大会に出場するなどほぼテニス漬けの日々を送っていました。上伊那の人はとても親切で、テニスコートに子どもを連れて行くと喜んで相手をしてくださる方がたくさんいるのでプレーも子育ても安心してできる良い環境です。移住してきてソフトテニスやりたいという方お待ちしています。  スポーツは“生きる力”がすごく身につくと思います。ソフトテニス×キャリア教育を一緒に考えてくれる方、この地でキャリア教育に携わりたい方ぜひ一緒に活動しましょう!

-コーディネーター紹介-

 時間を忘れるくらい、富岡さんとはいつもお話しをしてしまいます。今回も取材をしながらも、色々な話しに飛び火し、脱線してしまいました。しかもその話が盛り上がる。それぞれ共感してしまうため、なかなか本題に戻ることのできない取材となりました。それくらい富岡さんはキャリアの面でも教育の面でも、とてもアツい方なのです。  本来であれば、富岡さんのような方が『まっくんのオシゴト☆ズカン』に紹介されるべきですが、富岡さん自身がライターだったためスポットが当たることはありませんでした。そんな時にこの『まち冒険 キーマン紹介』にお声掛け戴いたときは富岡さんを紹介するチャンスだと思い、すぐさまアポイントを取りました。一つ私の夢が実現できてよかったです。これからも南箕輪村を盛り上げる戦友として、一緒に頑張っていきましょうね!

ID146 長野県上伊那郡南箕輪村

うちやま ゆうすけ

内山 祐輔

1989年9月7日生まれ。九州は宮崎県宮崎市出身。高校時代まで宮崎県で過ごし、大学進学を機に上京。大学では経済学を学び、地元宮崎県の元知事東国原氏の影響で「地域ブランディング」について研究。大学卒業後は都内の中堅印刷会社に就職。4年間営業として勤める。今後の生活を考え、奥様の地元でもある長野県上伊那郡南箕輪村に移住を決意。そこで地域おこし協力隊に従事し、新直売所のオープンのため日々奮闘している。小学校時代からバスケットボールを嗜み、現在もたま~にやっている。 ↓南箕輪村地域おこし協力隊Fbページ↓ https://www.facebook.com/minamiminowa.vill.kyoryokutai/