「もったいない」から始まった無添加ドライフルーツづくり

長野県駒ヶ根市

アカハネフミコ

赤羽ふみ子

二つのアルプスが広がる南信州駒ヶ根市。伊那谷と呼ばれる雄大な河岸段丘が連なる市内の天竜川東岸に位置する東伊那地区。「もったいない」という気持ちから、余すことなく農作物を使って無添加ドライフルーツなどの商品を開発製造しています。

一どんな活動をしていますか?

東伊那地区の農作物を中心に、無添加で安全安心なドライフルーツなどの乾燥商品を営農組合のお母さんグループで製造しています。

一はじめたきっかけはなんですか?

私たちの住んでいる東伊那地区は寒暖差と日照が多いことから、昔から果物の栽培が盛んです。基本的に地元の野菜や果物は旬が限られているので、新鮮なうちに出荷しますが、中には見た目の形や少々の傷によって出荷できないものもあります。品質は良いのに、出荷できない野菜や果物を日持ちよく乾燥して商品化できないか、ずっと考えていました。そのまま捨てるなんて、もったいないでしょ。 最初は、みんなで持ち寄った果物や野菜を乾燥して、試食していました。現在のパッケージ商品として出荷できるようになったのは、本格的な乾燥機を導入した2年前からです。

  • 洗浄後にスライスされた果物は、トレーに並べられて、そのまま乾燥機に入れます。一連の作業は途中で止めることができないので、1日の作業量を打ち合わせて小規模ながら丁寧に商品を製造しています。果物は一つ一つ形も違うため、どの向きでスライスすればいいのか、見極めながら作業をすすめます(写真はリンゴ加工の様子)。

  • 柿のドライフルーツ(写真左下)は「駒ヶ根あんぽ柿」という地元ブランドの干し柿の原料にもされている平核無(ひらたねなし)柿という品種を使っています。文字通り種が無い品種ですので、食べやすく横に切ってスライスチップスにしています。星みたいな断面でかわいい。セミドライなのでしっとり。 ぶどうのドライフルーツ(写真左上)も生食用のナガノパープルを使用しているので無添加でも驚くほど甘いです。

一一番大切にしていることはなんですか?

お子さんから健康志向の方まで、素材本来の美味しさを味わって頂きたいので、砂糖や油・保存料・香料などは使わず無添加で製造しています。また、乾燥時間やスライスの厚さ、季節によっても乾燥時間が大きく変わるので、いつもみんなで色々と楽しみながら、もっと美味しくなるように作り方を工夫しています。

一今後の目標を教えてください

今、スーパーに行っても国産のドライフルーツは、とても希少なものだと思います。でも、考えてみたら干し柿も、日本の伝統的なドライフルーツですよね。食物繊維も多く、旨味もあるし、保存食なので、目線を変えた乾燥商品の可能性をもっと試してみたいです。 ドライフルーツ以外にも、昨年新しく商品化した1人分のスープジャー用乾燥野菜セットは好みのスープの素と熱湯と合わせてスープジャー(保温魔法瓶)に入れるだけで、お昼ご飯には贅沢な野菜スープになります。朝の慌ただしいお弁当準備の手間が省けますよ。特に健康志向の方や登山・アウトドアでも好評です! さらに今年は、甘くて柔らかい干し柿「あんぽ柿」にフロマージュチーズを入れた創作菓子も製造開始しました。こちらも好評を頂いています。これからも、美味しくて安全な商品をお届けしたいですね。

アピールポイント

何よりも安全安心で美味しい商品を作りたい。地元の素材を地元のお母さんが、いつも楽しく加工しています。地元産ドライフルーツは素材の甘さ、旨みが濃縮されています。また、スープジャーに使える1人分乾燥野菜セットなど、気軽に野菜を楽しめる商品も開発しました。ぜひ、ご賞味ください! <商品問合せ先> 東伊那営農組合 事務局 長野県駒ヶ根市東伊那2573 TEL/Fax 0265-82-4002

-コーディネーター紹介-

ちょうど、休憩の時間にお話しをうかがいました。お母さんたちは、気心の知れた仲良し。楽しく商品開発している様子が明るく伝わってきました。これからもドライフルーツや乾燥野菜の安全と美味しさをどんどん追求してほしいと思いました!

ID141 長野県駒ヶ根市

ふくとみ がく

福冨 岳

栃木県出身。淡路島にある景観園芸の専門機関で勉強した後、造園会社で東京を中心に指定管理者として都市公園の緑地管理やマネジメント、市民ボランティア事業の実務を担当しました。 2015年から3年任期の地域おこし協力隊として駒ヶ根市に移住。現在は農産物の6次産業化をテーマに商品開発などの推進・掘り起しの業務をおこなっています。雄大な中央アルプスと南アルプスを身近に感じながら四季折々、今日も市内各所に出没中です。facebook / instagram # fukutomi_botanical