一どんな活動をしていますか?
大学卒業を機に内子町に移住し、キウイや栗など果物の栽培を中心とした農業を営んでいます。 移住当初は、もちろんまったくの農業初心者。はじめの2年間は、新規就農者向けの研修制度を利用して、農業について学びました。そして、昨年から耕作放棄地を開墾し、念願の自分の畑で農業を開始。自分の思い描く農業ができる環境が整ってきたことが嬉しいです。
一はじめたきっかけはなんですか?
地方の人口減少が進んでいる今、自分の地元では小学校が足りないくらい人口が増え、まさに「都心への一極集中」を身近に感じる環境でした。そんな中、芽生えたのが「自分が地方へ移住することで、地方活性化の一翼を担えないか」という思い。その手段として「農業」を選びました。農業がやりたくて田舎に移住する人が多いと思いますが、僕の場合は「田舎に住みたい。それなら農業をやろう!」という考えに行き着いたんです。 移住先に内子町を選んだ理由は、内子町が出展していた就農者向けのイベントに参加したことがきっかけです。その後、旅行も兼ねて実際に内子町へ足を運び、まちの景色や雰囲気が気に入って移住を決意。卒業式から1週間後には、湘南ナンバーの箱バンに堆肥を載せ、仕事をしていました。人生どこでどうなるかわかりませんね。(笑)
一一番大切にしていることはなんですか?
「おいしい」はもちろん、食べる人に「安全・安心」の果物を届けたい。 そのために、できるだけ農薬の使用を少なくするように努力しています。減農薬は、農作業をやっている人にも優しいですしね。食べてくれた人の「うまかったよ!来年も頼むね!」という声が、やりがいにつながっています。 また、人がなかなかやらないようなやり方や、珍しい品種の作付けにも挑戦しています。キウイの枝を沿わせる棚も、ブドウ作りで使用する平棚を使う人が多いのですが、僕は、低コストでのちのちキウイが育ったときの作業がしやすくなるような棚を工夫して作りました。今年植えたキウイが、収穫できるのは2年後。今から成長が楽しみです。
一今後の目標を教えてください
普通の一生活者として地域に貢献したいです。地元でお祭りや道づくり(草刈り)などあれば、積極的に参加しています。 自分の周りでは1人暮らしのご高齢の方が多くいます。その方たちは、僕のような若い世代の話し相手ができて、喜んでくれています。おかずをいただいたり、電話をかけて気にかけてくれたりと、自分を孫のように可愛がってくれる人がたくさんいて、僕もとても嬉しいです。「農業」を通して地域に溶け込んだことで、こういった深い人間関係が築けているんじゃないかと思います。 また、「移住者」、「農業人」として、モデルケースになりたいです。実際に農業に携わってみると、志す者にとってはありがたいサポートが充実していて、やる気さえあればとても魅力的な職業だと思います。しかし、就農する人は年々減っているのが現状で、僕の周りで中心となって頑張っている世代は70代と高齢化している業界。僕らの世代でも、農業に関心を持つ人が増えてくれればと思います。 仕事での目標は、とにかく「おいしいものを作ること」。今は、農協や道の駅中心に販売していますが、いずれはネット販売で販路を広げ、たくさんの人に自分の作った果物を食べて喜んでもらいたいです。
アピールポイント
自分のペースや考えをそのまま反映できるのが、農業の良いところ。何をつくるか、どうつくるか、どのくらいつくるか、販路はどうするかetc...栽培し、販売するまでの過程を自分自身で決めることができるのも、農業の魅力のひとつだと思います。 内子での生活は、都会に比べて買い物など不便な面もあるけれど、樹や花、鳥のさえずり、雲海、夜空など美しいものに囲まれている幸福感があります。時間の流れをゆっくり感じ、安心してぐっすり眠ることができるまちです。
-コーディネーター紹介-
移住者の先輩である鷹野くん。地域の方に息子や孫のように可愛がられ、地域にすっかり溶け込んでいる姿を私も目にしています。大学卒業と同時に、移住・就農という選択をするのはなかなか勇気がいること。鷹野くんの決断力、行動力には脱帽です! また、地域の方のアドバイスを受けながら、自分の農業スタイルを模索する、そのしなやかでありながらも芯のある姿は、内子の農業に新しい風を生み出してくれることでしょう。 今はまだ若々しい、鷹野くんの育てるキウイの木。今後、どのように育ち、実をつけていくのか私も楽しみです。