もうひとつの滞在のかたち「ファームサポート」

長野県上伊那郡中川村

ミナミノウエン ナカヤマユウコ・マサユキ

みなみ農園 中山優子・晶行

晶行さんの父の代から65年続く果樹農園を営む。りんごをはじめ、梨、桃、ぶどう、すもも、田んぼと大忙しの農家さんだ。 奥様の優子さんは「農村女性ネット」という女性コミュニティの代表でもあり、地域の伝統行事やそれにまつわる食文化を伝える活動もされている。

一どんな活動をしていますか?

農家の自宅に宿泊して農作業のサポートをしてもらう「ファームサポート」の受け入れをしています。 5月のりんごの花摘みや摘果から始まります。 りんごの他にも色々ありますので、時季によりその果樹に必要な作業をみんなで行います。 3泊4日の滞在期間中、自主的に仕事を探して動ける方が多く「ヤル気」で来られる方が多いと感じますね。

一はじめたきっかけはなんですか?

自宅を使って民宿をしてみたいと考えていた折に、村で「ファームサポート」を始めたと聞き、参加してみたんです。 初年度からなので、もう14年になりますね。

  • みなみ農園のある「三共地区」 ひらけた土地からの景色は素晴らしく、大きな空に中央アルプスの姿が映える。 周りには、絶滅危惧種である渡り鳥「ブッポウソウ」の営巣地もあり、農作業をしているとたびたび見ることが出来るという。

  • 中川村の観光パンフレットにもファームサポートについてみなみ農園が掲載されている。 ファームサポートについてのお問い合わせは中川村役場 振興課まで。 電話→0265-88-3001(代表番号・月〜金・9時〜17時)

一一番大切にしていることはなんですか?

3泊4日という短期間で、皆さん一生懸命に作業をしてくれて本当にありがたいです。リピーターの方で、畑の場所、そこで育てている作物の事、作業についても把握している方もいらっしゃって(中にはファームサポートを始めた頃からのお付き合いの参加者さんもいらっしゃいます。)とても助かります。そんな時こそ、作業中の事故などに気を付け、無理のないようにやってもらえたら、と気遣いをする事が大切だと思っています。 始めた頃は私たちも若かったので、朝一から日暮れの音楽が鳴り響くまで作業しっぱなし、なんてこともありましたから。笑 今は、オンとオフをしっかりと、作業が終わったら望岳荘(村の入浴施設)でお風呂に入り、家に帰ってあたたかい夕食を囲んでコミュニケーションをとる。その時間を大切にしています。

一今後の目標を教えてください

まずは短期でも一度来てみてほしい。 年代や普段の職業や立場も関係なく、色んな方に来てもらって「農作業」という時間を共有してコミュニケーションが出来たらいいな。 良い気候の頃には農業も忙しく、なかなかあちこち出かけることも出来ないから、参加者さんが新しい風を持ち込んでくれるのがとても楽しいです。 あとは桃や梨の花が咲くころにイスやテーブルを果樹園に置き、桜の花見とは違った雰囲気を楽しんでもらえるような「果樹園のお花見」を開催したいな、と思っています。 素敵だと思いません?

アピールポイント

みなみ農園の「貴陽」ジャム 甘酸っぱさが特徴のスモモ、貴陽。村内でも生産者は少ない。 秋映・シナノスイート・シナノゴールド・サンふじ、と品種ごとに作っており、味の違いを楽しめるりんごジュースは、村内外の農産物直売所で販売している。

-コーディネーター紹介-

ファームサポートに来られる方は、リタイア組の60代の方・新規就農を目指して研修として来る方・社会勉強としてボランティアに興味のある大学生・・・と年代も様々です。 忙しいシーズンにはやることがたくさんで、なかなか出かけることも出来ないと思いますが、色んな地域から来る方との会話で潤い、コミュニケーションすることが何より楽しいとお話ししてくれた優子さんや晶行さん。 外から来た人たちを、自分たちの生活や仕事に迎え入れてくれる、そのオープンな心の持ちようが、お二人の素敵なところだなぁと感じました。

ID157 長野県上伊那郡中川村

たかはし しおり

髙橋 詩織

1988年1月6日生まれ。関東で大学生活の後、長野に戻ってアルプス暮らし。 冬は北アルプスで雪まみれ。夏は南アルプスで山小屋生活。その後2016年6月より地元、松川町のお隣村である中川村で地域おこし協力隊として活動中。 野山の食べ物に興味津々。健康的で機能的なおやつ(行動食)作りの研究中。 「おいしく、楽しく。山で暮らすスキルを身につける。」をモットーに、村で獲れた鹿や猪の解体・販売をしています。