みんなで作り上げた道の駅から発信する、「ましこの暮らし」 

栃木県芳賀郡益子町

カンダ トモノリ

神田 智規

富山県出身。1977年生まれ。富山県の高校を卒業後、都内で映像関係について学び、AD等の仕事を行った後、2001年に賃貸ペンションの経営をするために益子に拠点を移し、契約期間終了後の2005年に自身のペンションである「益古時計」を開業する。道の駅検討委員会の委員となり、支配人として選出され着任した。

一どんな活動をしていますか?

実証店舗である「ましこのマルシェ」の約2年間の準備期間を経て、栃木県内24番目の道の駅(県内市町数25)として2016年10月15日に開店した「道の駅ましこ」の支配人を務めています。 道の駅は、①新鮮な農産物、ピクルスやジャムなどの加工品、手仕事の町としての工芸品が購入できる「ましこのマルシェ」、②益子の素材の良さを味わうことのできる「ましこのごはん」、③益子の総合案内として観光案内はもちろん「住みたい」価値を提供する「ましこのコンシェルジュ」、の3つの構成で成り立っています。 風土に根差した産業を作るべく、さまざまな商品づくり、産業づくり、人づくりの創造拠点としての役割を担っています。総合案内が観光案内だけにとどめていないのは、益子には魅力ある暮らしを送っている人がたくさんいらっしゃると感じているからです。一元的な観光では体験できないような、ディープなところに益子の面白さがあると考えています。そこで、以前、観光協会で実施していた「ましこサポーターズクラブ」という益子の新しい魅力を探しながら、ファンと共有していくという事業の思いを引き継ぐような形で、道の駅から「ましこの暮らし」を発信していきたいです。

一はじめたきっかけはなんですか?

東京に住んでいたころに、東京暮らしは嫌いではなかったのですが、年を取った時の暮らしが想像できないと考えていました。そんな時に、旅行で訪ねた北海道富良野市のペンションの雰囲気に強く惹かれて、将来は北海道でペンションをやりたいと思うようになりました。ペンションの夢を実現しようと、動き出したころに紹介してもらったのが、益子町でオーナーを募集していた賃貸物件のペンションでした。それまで、益子町には行ったこともありませんでしたが、北海道に行くためのステップアップとして契約期間の4年間、経営を行うことにしました。 慣れない土地で不安のなか益子に住み始めましたが、隣に住む陶芸家さんから食事や、仲間内での卓球に誘ってもらうようになり、サラリーマンとは違う時間に縛られない暮らしを体感しました。その方とは、年齢は20歳以上離れていますが気さくで友人感覚の付き合いができて、これまで経験したことのない感覚にカルチャーショックを受けました。それからは、すっかり益子が気に入り4年後の北海道ペンション計画は、益子ペンション計画に変わり益子町内に「益古時計」というペンション兼カフェ・ギャラリーを開業することになりました。  益古時計の経営が落ち着いてきた2010年には、飲食店の横のつながりが欲しいという思いを実現するために町内の飲食店がブース出展する「益子朝市」を開催し始めました。朝市はお店をやっていると他のお店に行けないため深いつながりが出来ないことや、飲食店が野菜の生産者さんとどうつながればよいかわからない、という悩みを解決できる場になりました。「つながりたい」という思いの背景には、益古時計に泊まりたいお客様を増やすには「益子に泊まりたい」というニーズを増やすという、益子全体の価値の向上が必要だと考えていたこともあり、この交流から益子全体を良くしたいという思いを飲食店経営者や生産者間で共有することができました。その翌年には、東日本大震災があり益子町の産業も大きな打撃を受けましたが、復興の機運も高まり益子の良さを発信する機会である、益子市やポターリング、益子夜市等の新たなイベント関係にも携わりました。 そのような流れから、道の駅検討委員会の委員を務めるようになり支配人として選出されました。益古時計の経営もあったので当然迷いもありましたが、「今までやってきた益子の良さを発信するということを、単発のイベントとしてではなく継続してできる!」という思いから引き受けることにしました。

  • 「ましこのコンシェルジュ」には観光だけでなく、移住に関しての住まいや仕事相談もできる。

  • 「作家棚」には益子焼作家の作品が並ぶ。キャプションがついており、お気に入りの作家を探すことができる。

一今後の目標を教えてください

道の駅ましこは、一つの建物の中に物販、飲食、総合案内が一体となって入っていて、経営は第3セクターである株式会社ましこカンパニーがすべてを行い、テナントが入っていないという特徴があります。これを生かして、生産から加工、消費までの一連の流れが体感できる道の駅として成長していければ嬉しいです。スタッフは、日頃から生産者さんやお客様と顔を合わせているので、生産者になりたいという方の相談に乗ったり、生産者さんの畑を見学するツアーを企画したりと双方をつなぐこともできると思います。今までになかったコラボが生まれやすい環境を強みにして、「益子で暮らす価値」を可視化していきたいです。

アピールポイント

益子町の文化を十分に感じていただける、「おもてなしの玄関口」をぜひ体感してください。

〒321-4225 栃木県芳賀郡益子町長堤2271
TEL 0285-72-5530 / FAX 0285-72-5531
営業時間 9:00 〜 18:00(定休日 毎月第2火曜日)

-コーディネーター紹介-

「道の駅ましこ」は、農産物や特産品の販売だけでなく、益子の暮らしを提案するという特徴があります。 手仕事品の背景にある働き方と暮らし方についても感じて欲しいです。 取り扱う商品はもちろん、益子町の作家さんなどの情報についてもコンシェルジュに問い合わせ可能という仕組みになっています。

ID88 栃木県芳賀郡益子町

いわさきまきこ

岩崎真紀子

1986年生まれの益子町出身。学生時代は神奈川県ですごし、Uターンして益子町役場へ。小さな地域でもつながりにくいヒトやモノ、コトをつなぐことに必要性を感じ、2009年に町内の陶芸をはじめとするクリエイター、農家、勤め人ら有志でつくる地域コミュニティヒジノワの立ち上げに参加。以後、運営に関わっている。